はじめに
「〜てください」は、日本語の教科書でとても早く出てきます。でも、実は奥が深い文型です。
この記事は、やさしい版を読んだ人のための「くわしい版」です。
ここでは3つのことを勉強します。第一に、て形の作り方の完全なルール。第二に、お願いの丁寧さの段階。第三に、て形から広がるたくさんの文型です。
最後まで読むと、「て形が作れる」から「て形で会話ができる」に変わります。
> 💡 この記事の言葉
> - グループ(=動詞の3つの仲間分け。作り方が仲間ごとに違います)
> - 音便(=言いやすくするために、音が変わること)
> - 辞書形(=「食べる」「書く」のような、辞書に載っている形)
📖 この記事の内容
- 第1部:て形の作り方 — 完全ルール
- 第2部:お願いの丁寧さ — 4つの段階
- 第3部:て形が作る文型の広がり
- よくある間違いと直し方
- まとめ
- 関連動画
- もっと学びたい方へ
第1部:て形の作り方 — 完全ルール
やさしい版では、代表的な例だけを見ました。ここでは全部のルールを見ます。
まず、動詞を3つのグループに分けます。グループが決まれば、作り方も決まります。
グループII と グループIII を先に覚える
数が少ないほうから覚えると、速いです。
グループII(「〜ます」の前が「え」か「い」の音)
「ます」を取って、「て」を足すだけです。
- 食べます → 食べて
- 見ます → 見て
- 寝ます → 寝て
- 教えます → 教えて
グループIII(不規則な動詞。2つだけ)
- します → して
- 来ます → 来て
「勉強します」「電話します」なども、同じ形になります。
グループI は「音便」(おんびん)で6つに分かれる
グループI がいちばん難しいところです。「ます」の前の音を見てください。
言いやすくするために音が変わります。これを音便と言います。
| 「ます」の前の音 | て形 | 例 |
| い・ち・り | **って** | 買います→買って/待ちます→待って/帰ります→帰って |
| み・び・に | **んで** | 飲みます→飲んで/遊びます→遊んで/死にます→死んで |
| き | **いて** | 書きます→書いて/聞きます→聞いて |
| ぎ | **いで** | 急ぎます→急いで/泳ぎます→泳いで |
| し | **して** | 話します→話して/貸します→貸して |
覚え方のコツがあります。「い・ち・り」は口を止める音なので「って」。「み・び・に」は鼻から息が出る音なので「んで」。音がとても近いです。
たった1つの例外
行きます → 行って
「き」で終わるのに「行いて」になりません。ここだけ「って」です。
日本人が毎日使う動詞なので、この形が残りました。1つだけなので、覚えてしまいましょう。
✏️ 練習:グループを見つける
次の動詞のて形を作ってください。
- 持ちます
- 呼びます
- 消します
- 起きます(グループII です)
答え: 1. 持って 2. 呼んで 3. 消して 4. 起きて
第2部:お願いの丁寧さ — 4つの段階
ここが、やさしい版で言わなかった大事な話です。
日本語のお願いは、「丁寧か、丁寧じゃないか」の2つではありません。段階があります。相手と場面で選びます。
段階1:「〜て」— 友達・家族に
「ください」を取ると、カジュアルな言い方になります。
- 「ちょっと待って。」
- 「その本、取って。」
友達や家族には自然です。でも、初めて会う人や先生には使いません。
段階2:「〜てください」— 丁寧、でも「上から」の感じもある
- 「ここに名前を書いてください。」
- 「少し待ってください。」
これは丁寧です。でも、実は指示の気持ちが少し入っています。
先生が学生に、店員がお客に、案内が読む人に——このような方向でよく使います。
だから、社長や先生に自分のお願いをするときは、少し強すぎます。
段階3:「〜てくださいませんか」— もっと丁寧に頼む
「〜ませんか」の形にすると、相手に選ぶ自由をあげられます。
- 「もう一度、説明してくださいませんか。」
「してください」より、ずっとやわらかいです。
段階4:「〜ていただけませんか」— いちばん丁寧
いちばん丁寧なお願いの形です。目上の人に使います。
- 「この書類を見ていただけませんか。」
- 「少し時間をいただけませんか。」
会社のメールや、初めての相手に安心して使えます。
段階のまとめ
| 形 | 丁寧さ | 使う相手 |
| 〜て | 低い | 友達・家族 |
| 〜てください | ふつう | 店員・学生・案内文 |
| 〜てくださいませんか | 高い | 先生・お客さん |
| 〜ていただけませんか | いちばん高い | 上司・目上の人 |
ポイント: 迷ったら「〜ていただけませんか」を使ってください。失礼になりません。
「〜ないでください」— しないでほしいとき
反対のお願いもあります。「〜ないでください」です。
作り方は、て形ではありません。ない形を使います。
- 写真を撮ります → 撮らないでください
- ここに入ります → 入らないでください
- 心配します → 心配しないでください
「〜なくてください」という形はありません。よくある間違いです。
第3部:て形が作る文型の広がり
て形を覚えると、たくさんの文型が一度に使えるようになります。これが本当の力です。
「〜ています」の4つの意味
やさしい版では2つだけ紹介しました。実は4つあります。
① 進行(=今、その動きが続いていること)
- 「今、ごはんを食べています。」
- 「弟は部屋で寝ています。」
② 結果の状態(=動きは終わったが、その結果が今も残っていること)
- 「窓が開いています。」(開ける動きは終わった。でも今、開いた状態)
- 「田中さんは結婚しています。」
- 「私は北海道に住んでいます。」
学習者がいちばん間違えるのが、この②です。「開いています」は「今、ドアが動いている」ではありません。
③ 習慣(=いつも繰り返してすること)
- 「毎朝、6時に起きています。」
- 「週に3回、日本語を勉強しています。」
④ 職業・所属
- 「銀行で働いています。」
- 「大学で日本語を教えています。」
初めて会った人に仕事を言うとき、「働きます」ではなく「働いています」と言います。
> 💡 注意: 「知っています」の反対は「知っていません」ではありません。「知りません」です。この動詞だけ特別です。
「〜てもいいです」— 許可
「〜てもいいですか」で聞き、「〜てもいいです」で答えます。
- 「ここに座ってもいいですか。」
- 「はい、座ってもいいですよ。」
「〜てはいけません」— 禁止
強いルールを言うときの形です。
- 「ここで写真を撮ってはいけません。」
会話では「〜ないでください」のほうがやわらかいです。「いけません」は、規則や標識の言葉です。
「〜てから」— 順序
「AてからB」で、「Aが先、Bがあと」を表します。
- 「手を洗ってから、食べます。」
- 「宿題をしてから、遊びます。」
「〜て、」だけでも順番は言えます。でも「〜てから」は「先に終わらせる」気持ちが強いです。
「〜ておきます」— 準備
あとのために、先に何かをすることです。
- 「会議の前に、資料を読んでおきます。」
- 「旅行の前に、切符を買っておきます。」
会話では「読んどきます」と短くなることもあります。
「〜てしまいます」— 完了・後悔
2つの気持ちがあります。
完了(=全部終わる)
- 「この本を今日中に読んでしまいます。」
後悔(=しまった、という残念な気持ち)
- 「電車に傘を忘れてしまいました。」
- 「大事な書類をなくしてしまいました。」
会話では「忘れちゃった」という形をよく聞きます。
「〜てあります」— 準備の結果
「〜ています」の②と似ていますが、違います。
- 「窓が開いています。」(今の状態を、そのまま言う)
- 「窓が開けてあります。」(誰かが、目的があって開けた)
「〜てあります」には、「人が準備した」という意味が入ります。
- 「会議室に椅子が並べてあります。」
- 「冷蔵庫にビールが冷やしてあります。」
よくある間違いと直し方
| ❌ 間違い | ✅ 正しい形 | 理由 |
| 見ますてください | 見てください | 「ます形」+てください にはならない |
| 行きて | 行って | 「行きます」は唯一の例外 |
| 飲みてください | 飲んでください | 「み」は「んで」に変わる |
| 部長、これを見てください | 部長、これを見ていただけませんか | 目上の人には段階4を使う |
| 食べなくてください | 食べないでください | 否定のお願いは「ない形+でください」 |
| 私は東京に住みます | 私は東京に住んでいます | 今の状態は「〜ています」 |
| 知っていません | 知りません | この動詞だけ特別な形 |
| 友達に「入ってはいけません」 | 友達に「入らないでください」 | 「いけません」は規則の言葉。会話には強すぎる |
まとめ
| テーマ | ポイント | 例 |
| グループI の音便 | い・ち・り→って/み・び・に→んで/き→いて/ぎ→いで/し→して | 買って・飲んで・書いて・急いで・話して |
| 例外 | 「行きます」だけ「行って」 | 学校へ行ってください |
| 丁寧さの段階 | 〜て < 〜てください < 〜てくださいませんか < 〜ていただけませんか | 目上には段階4 |
| 否定のお願い | ない形+でください | 入らないでください |
| 〜ています | 進行・結果の状態・習慣・職業 の4つ | 住んでいます/働いています |
| 広がる文型 | 〜てもいいです/〜てはいけません/〜てから/〜ておきます/〜てしまいます/〜てあります | 読んでおきます |
て形は、1つの形で6つ以上の文型に使えます。だから、最初に時間をかける価値があります。
まず音便の表を口で言えるようにしてください。そのあと、文型を1つずつ足していきましょう。
▶️ 関連動画
このトピックの解説と発音つきの練習は、動画でも見られます。
> 💡 ヒント: 初めて見るときは、スペイン語または英語の字幕(CC)をオンにしてください。説明をしっかり理解できます。
🎓 もっと学びたい方へ
YouTubeではて形のルールを教えていますが、Preplyではあなたが本当に使う場面で練習します。
「先輩に何と言いますか」「店で何と頼みますか」——相手と場面を決めて、丁寧さの段階を一緒に選びます。あなたの言い方を聞いて、その場で直します。
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