
はじめに
この二つの文、どう違うかわかりますか?
- A:「先生に褒められた。」(先生が私を褒めた → 受け身)
- B:「私が先生を褒めた。」(私が先生に何かをした → 能動文)
助詞が一つ、語尾が一つ違うだけなのに、意味が逆になります。
「られる系」 は、日本語の「一人三役の名優(=一人で三つの役をする、すごい俳優)」です。動詞グループで見た目は少し変わりますが、文法の役(=はたらき)は三つあります。この記事では、その三つの顔と、日本人も迷う「ら抜き言葉」まで説明します。
動詞グループ別の作り方
「られる系」は、動詞のグループで作り方が違います。
グループ1(u動詞)
受け身・尊敬: 語尾の「u」を「a」に変えて「れる」を付ける
書く → 書かれる 飲む → 飲まれる 話す → 話される 買う → 買われる(「う」で終わる動詞は「わ」を使う)
可能: 語尾をe段に変えて「る」を付ける
書く → 書ける 飲む → 飲める 話す → 話せる
グループ2(ru動詞)
「る」を取って「られる」を付ける
食べる → 食べられる 見る → 見られる 起きる → 起きられる
⚠️ 超重要: グループ2の受け身・可能・尊敬は 同じ形 になります。「食べられる」が受け身か可能か、形だけでは判断できません。文脈が鍵 です。
グループ3(不規則動詞)
する → される(受け身・尊敬)/ できる(可能) くる → こられる(受け身・尊敬・可能)
🎭 受け身:行為を「受ける」
受け身のイメージ
月曜日の朝、会社に着いたら上司から電話。「上司に怒られた……。」月曜日から最悪ですね。これが受け身です。
大事な助詞:「に」
受け身では、行為者——何かをする人——に 「に」 を使います。「を」ではありません。
犬に噛まれた。 — I was bitten by a dog. 友達に笑われた。 — I was laughed at by my friend. 先生に褒められた。 — I was praised by my teacher.
迷惑受け身
日本語の受け身には特別なニュアンスがあります。「迷惑」や「被害」(=困ったこと・嫌なこと)の気持ち が入ることが多いです。
雨に降られた。 — 雨のせいで困った 子供に泣かれた。 — 子供が泣いて私が困った
英語やスペイン語の受け身は、たいてい「あったこと」だけを説明しますが、日本語の受け身は 気持ちも一緒に伝える ことが多いです。これが他の言語との大きな違いです。
✏️ 練習問題①
次の文は受け身ですか?「に」に注目してください:
- 「上司に怒られた。」
- 「犬に噛まれた。」
- 「友達に笑われた。」
💡 答えを見る
全部受け身です。「に」が行為者を示しています。
💪 可能:「できる」という意味
可能形の使い方
「納豆が食べられますか?」日本に来た外国人は、絶対に聞かれます。Can you eat natto? という意味です。
例文
辛い物が食べられる。 — I can eat spicy food. 日本語が話せる。 — I can speak Japanese. 泳げる? — Can you swim?
受け身 vs 可能の見分け方
コツ1:助詞を見る
- 「が」 → 可能のことが多い(教科書・試験ではまずこれ)
- 「を」 → 会話では可能で使われることもある
- 「に」 → 受け身のことが多い
「日本語が話せる。」 → 可能 「先生に褒められた。」 → 受け身
コツ2:誰が行為者か考える
- 「私が〜できる」→ 可能
- 「誰かが私に〜した」→ 受け身
助詞と文脈、この二つで、ほぼ判断できます。
👑 尊敬:目上の人への敬意
一番サプライズな使い方
「来られた」。受け身に見えますよね。でも、目上の人——先生や社長など、自分より上の人——が主語(=文の主人公)のとき、受け身形を 尊敬語として使う ことがあります。
社長が来られた。 — The president came.(敬意=相手を高める気持ちを伝える) 先生は何を食べられましたか? — What did the teacher eat?(丁寧な表現) 「お酒をやめられたんですか?」 — 上司に丁寧に聞くときの表現
受け身と尊敬の見分け方
「先生に〜された」 → 受け身(先生が私に何かした) 「先生が〜された」 → 尊敬(先生がしたことを丁寧に言う)
- 行為者に「に」がついていれば → 受け身
- 目上の人が主語で「が」なら → 尊敬
🎁 ボーナス:ら抜き言葉
「食べれる」と「食べられる」
試験では「食べられる」が正解。でも毎日の会話では「食べれる」も普通に使われます。これを 「ら抜き言葉」 と言います。
グループ2の可能形から「ら」を取った形です:
食べられる → 食べれる 見られる → 見れる 起きられる → 起きれる
なぜこうなったのか?
グループ2の受け身と可能は同じ形です。「食べられる」が受け身なのか可能なのか、わかりにくいですね。だから、可能に「ら抜き」を使う人が増えました。受け身との違いをはっきりさせるためです。
「ここでゴリラが見られます。」 ← 正しい形 「ここでゴリラが見れます。」 ← 話すときの形
覚えておこう: 先生は試験でら抜きをバツにするかもしれません。でも日本人の友達は毎日ら抜きを使っています。場所や相手で使い分けること が大事です。
まとめ:「られる」の三つの顔
| 形 | 機能 | キーとなる助詞 | 例文 |
| 受け身 | 行為を受ける | に | 上司に怒られた |
| 可能 | できる | が / を | 辛い物が食べられる |
| 尊敬 | 目上の人への敬意 | が(主語が目上) | 社長が来られた |
| ら抜き | 可能の話し言葉の形 | が | ゴリラが見れる |
見分け方まとめ
- 「に」がある → 受け身を疑う
- 「が」がある → 可能を疑う(試験で安全)
- 「を」がある → 会話では 可能のこともある
- 主語が目上の人 → 尊敬を疑う
- 話し言葉で「〜れる」 → ら抜きかもしれない
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